「人の心配より、自分達の心配をしたらどうだ!」
ジャルバスは右手でゆっくりと、暗黒剣を振り上げる。そのまま、じりじりとまゆみ達に近づいて来る。
「ああん!だめっ!...このままじゃやられちゃう...あんっ!」
一方、アミネットは電流の出力を徐々に上げていく。ゆうかはその度に、より激しく悶え喘いでしまう。
「はああんっ!...あっ!あん!あんっ!...た..たすけてっ!だれか...し..白銀の騎士さまっ!ああんっ!」
郊外の順のアパート。相変わらず部屋の中央で、目を閉じて座禅を組んでいる順。が、その表情は険しく、彼の体からは、うっすらとオーラの様な光が発せられていた。
「ゆうか!」
突然!順が叫ぶ。すると、順の体から発せられていた光が激しく強さを増す。急に目を開き、立ち上がる順。
「変身!」
光が順を完全に包み込む。そして、光の中から、銀色のバトルプロテクターに身を包んだ、一人の戦士が誕生する。そう、白銀の騎士の正体は、ゆうかの恋人順だったのだ。
順も、ゆうか達と同じく、しばられ人の子孫であった。しばられ人の男性は、女性の様に縛られる事により超能力を発揮することはできない。しかし、男性も、唯一特殊な能力を持っていた。しばられ人の女性は、後ろ手に縛り上げられる事で、変身し、強い力を手に入れることができる。しかし、変身した姿で後ろ手に縛り上げられると、その全ての力を使えなくなってしまう。だが、力は消滅してしまう訳ではないのだ。しばられ人の女性が使えなくなってしまった力は、さらに増幅され、その女性が心の底から愛する男性の元へ送られる。その力を受ける事により、しばられ人の男性は、凄まじいまでの力を発揮する事ができる白銀の騎士へと姿を変える事ができるのだ。ただ、地球人との混血であるゆうかと順では、昔のしばられ人の様にすんなりは力の授受ができない。変身後ゆうかが縛られ、激しく責められ、本当の窮地に立たされた時、ようやく力の授受が可能となるのだ。
「ゆうか!今行くぞ!」
順の体は再び光に包まれ、アパートを飛び出し天空へと消えて行く。
ジャルバスは、もうまゆみ達の目の前まで来ている。今にも剣が振り下ろされようとしていた。
「ああん!...もうだめっ!」
思わず目を閉じるまゆみ達、がその時、彼方から飛来した白銀の光の玉が、ジャルバスを弾き飛ばす。
「ぐわあああっ!」
光の玉はその場に降立ち、白銀の騎士へと姿を変える。
「白銀の騎士様!」
まゆみ達の金縛りが解ける。
「次元聖獣ギルディオン!」
天空が裂け!その裂け目からギルディオンが姿を現す。
「フェニックス・アタック!」