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MEと桜は、久しぶりに実家のある”近獏村”に向っていた。彼の実家のしばられ人に関する資料は殆ど探し尽くしたが、桜の実家にはまだ未確認の資料が沢山ある可能性がある。その為、二人で桜の実家の蔵を調べる事にしたのだ。
日に数本しか走っていないローカル線の駅を降り、1時間近く歩く。ようやく、二人の実家のある近獏村が見えてくる。村に入ったところで、二人は異様な雰囲気に気付く。桜の実家の近くに来ると、村の皆が集まって何やら騒いでいる。MEと桜は早足でその集団に近づく。
「何かあったんですか?」
「ん?!おお、MEさん。また、神隠しがあったんです!」
「神隠し?」
「ちょっとおまえさん!MEさんは今来たばかりなんだから、順を追って話さないと分からないよ!」
MEに即座に対応した男を、その女房と思われる女がこづく。
「あ..ああ、すいません。実は、5日程前から、若い女の子が行方不明になる事件が続いてまして....今日も一人いなくなって、これで4人目なんです。」
「何ですって?...く..詳しく聞かせて下さい!」
とりあえず、彼らは桜の実家に入り、事の詳細を聞いた。事の起りは5日前、村の若い女の子一人が、村外れの滝の前で思いを寄せる村の男と待ち合わせをしていた。女の子は、30分も早くその場所へ向ったらしいが、男が到着した時には誰も居なかった。それから、1時間経っても一向に女の子は姿を見せない。不安を感じた男は、女の子の家に向ったが、彼女の姿は家には無く、家の者にも確かにその場所へ行くと告げて出掛けたと言うのだ。それから、村の者総出で彼女を探したが、彼女の姿は村の何処にもなかった。山狩りも行ったが、それでも彼女は発見できなかった。この事件を皮切りに、ほぼ毎日、若い女の子が行方不明になっているのである。駅に連絡しても、彼女達は来ていないという話しであった。県警にも連絡して、今日にも大規模な捜索隊が来てくれる様なので、到着次第再度山狩りを行うという話になっていた。
「若い女性ばかり?....」
MEは少し考え込んでいた。何か、頭に引っ掛かっているものがあったからだ。
「最近...それ以外で、村で変わった事は無かったですか?」
「変った事ねえ?........」
男は、しばし腕を組んで考えこんだ。しばらくして、思い出した様に話し始める。
「そういえば....2週間程前から、東京の大学の助教授だという女の人が、ちょくちょく村に来ていろいろ聞いて回ってたな.....」
その言葉を聞いて、MEははっと顔を上げる。
「東京の大学の助教授?!...その女性、何て名前でした?!」
ME指令の事件簿 -近獏村の神隠し-
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