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プロフェッサーちょこるが生み出した、新たなミュータント.....それは、何処にでもいるような小さな一匹の蜘蛛であった。しかし、その蜘蛛が噴く糸は柔軟性・弾力性に富んでいる上に非常に強固で、シバラレンジャーの力でも、鋭利な刃物でも切る事はできなかった。MEの留守を任されてファンタジー・ベースに泊まり込んだまゆみと華汝は、この蜘蛛に不意を突かれ、難無く捕らわれてその糸で縛り上げられてしまった。

まゆみと華汝が指令室で襲われる少し前、ゆうかの寝室では、ゆうかが華汝からの呼び出しで目を覚ましていた。
『ゆうか!......聞こえる?......何かあったの?........』
「........ん?.............んふっ.........」
夢うつつの中から、ゆうかは徐々に意識を取り戻す。
「.....か....華汝姉ちゃん?......で...でなくっちゃっ.....」
華汝の声に気付き、起き上がろうとするゆうか。
「んっ!.......え?........んんっ!!」
起き上がろうとして、ようやく気付く。体が思う様に動かない。それに、多少腕に痛みも感じる.....
「あん.......え?......し...縛られてる?!」
ようやくゆうかは、自分が後ろ手高手小手に縛り上げられている事に気付いた。それも、後ろ手は相当高く背中に捩じ上げられた、厳しい縛りである。当然、膝と足首も縛り上げられている。
「あん!.....い...いったい誰が?......あふんっ!!」
少しもがいたゆうかは、そのまま転がりベットから床に落ちてしまう。そこで、部屋の中の異変に気付く。
「こ.....これはっ??」
部屋の中は、まるで古びた廃屋の様に蜘蛛の巣でいっぱいであった。壁の上隅の監視カメラに至っては繭の様に全体が糸に包まれていた。
「く.....蜘蛛の糸?.....じゃあ、あたしを縛っているこの縄も?......」
ゆうかは、自分を縛り上げている細く白い物を凝視する。確かに、縄では無く、部屋一面に張り巡らされている蜘蛛の糸と同じ物だ。
「で....でも.....蜘蛛の糸が.....あん!....な...何でこんなに丈夫なの?....あんっ!」
ゆうかは、不自由な後ろ手で懸命に力を込めて、糸を引きちぎろうとした。しかし、直径数mm程度しか無い蜘蛛の糸が、どんなにがんばってもびくともしないのだ。
「そ....そうだわっ!変身すればっ!」
ゆうか達シバラレンジャーは、変身する時に一瞬だけ凄まじいエネルギーを放出する。そのエネルギーで、自分を縛り上げている縄を引きちぎる事ができるのだ。
【第19話】  狙われたファンタジー・ベース ― Act.2 ―
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