「シバラレチェンジ!!」
ゆうかは、大きく掛け声を上げる。声に反応して、ゆうかの胸に掛けたペンダントが激しい光を放ち、たちまちその光はゆうかを包み込む。そして一瞬大きく輝き、徐々に光が弱まって、中からピンクのレオタードスーツに身を包んだシバラレピンクが現れる。だが........
「あん!どうしてっ?!」
変身しても、糸はちぎれるどころか切れ目ひとつ付いていない。全く変化が無く、変身前と同じ様にゆうかを厳しく後ろ手高手小手に縛り上げていた。
「そんな....変身しても解けないなんて.....あん!ど...どうすればいいの?....あん!あんっ!」
ゆうかは、懸命に体を捩ってもがき続ける。しかし、変身しても後ろ手の状態なので力はさっきと変わっていない。当然、糸が切れる筈も無い。
「だ...だめっ!....どうする事もできない....あん!....ま...まゆ姉ちゃん達を...た..助けを呼ばなくっちゃっ!!」
もう自力での脱出は無理と悟り、ゆうかはまゆみ達に助けを求める為、連絡用の回線のところに向かって床を這い始める。
「うん!.....んっ.....あん!......んふっ!」
後ろ手に縛られた不自由な体勢で、尺取虫の様に体を伸縮させながら、懸命に床を這うゆうか。何とも惨めで恥辱的な姿だが、今はそんな事を気にしている場合では無い。自分を縛り上げた敵についても、早急にまゆみ達に伝えないと彼女達も危ないのだ。
「あん!.....んふ......んふん!.....はんっ!」
ようやく回線の真横の壁の前に到達し、今度はその壁に体を押し付けて何とか立ち上がろうとする。脚も縛られているので、支えがないと立ち上がれない。
「あ.....あん!....んっ!......」
何とか立ち上がり、飛び跳ねて回線の正面に回り込む。手は後ろ手で使えない為、前屈みになって口でボタンを操作する。幸い、この回線には殆ど糸が張られていなかった。自分の姿を映すカメラのレンズは糸で塞がれていたが、指令室が映るモニターや操作ボタンは無事だった。回線が開き、画面に光がともる。
「ま....まゆ姉ちゃん!た....大変なの!...しょ....正体不明の敵が..........?!」
そこまで喋り掛けたところで、ゆうかは絶句してしまった。モニターには、シバラレレッドとシバラレブルーに変身したまゆみと華汝の姿が映っていた。但し、蜘蛛の糸により厳しく後ろ手高手小手に縛り上げられ、天井から同じ蜘蛛の糸により並んで吊り下げられている二人の姿が.........
「そ....そんな?!.......ま...まゆ姉ちゃんも....か....華汝姉ちゃんまで.....」
ゆうか達がこの様な目に合わされている頃、桜は一人地下のトレーニングルームで訓練をしていた。
「バイオレット・ソーサー!!」