目の前のモニターには、館内のあちこちで捕らえられたシバラレンジャー達の姿が次々に映し出されて行く。
トレーニングルームでは、縛られて転がされている桜が懸命にもがき続けている。
「うん!....な...なんとかしなくっちゃっ!....あんっ!」
無駄だと分かっていても、何もせずにはいられず必死に体を捩っていた。
レストルームでは、部屋の中に大きく張られた蜘蛛の巣に、のりこが張り付けにされていた。いつの間にか、両手は後ろ手高手小手に縛り直され、膝と足首もしっかり縛られている。その状態で、蜘蛛の巣の中央に張り付けられている。
「んふん!......んっ.....あんっ!だめっ!全然動けない......」
他の者と違って、びったり蜘蛛の巣に張り付けられている為、体を捩る事も容易では無い。一番抵抗しただけに、縛りもいちばんきつくされていた。
「はあん!......んっ!.......ふんっ!」
それでも、のりこは懸命にもがこうとがんばっていた。
通路では、既に繭の様に糸で固められたイプシロンの前で、胡摩がもがいていた。皆と同様後ろ手高手小手に縛り上げられている上に、足首はイプシロンの繭に繋がれていた。
「ううん.....あんっ!こ...これじゃ、こ...ここから動けない....はんっ!」
体を捩り、何とか這って前に進もうとするが、足を繋がれていてはどうにもならない。
そして、唯一モニターに映らない部屋.....カメラが糸で覆われているゆうかの寝室では、胡摩の様に足首をベットの脚に繋がれたゆうかが、必死に前に進もうとがんばっていた。
「あん!.....んっ.....ふんっ!.....ああんっ!」
後ろ手に縛られた体をうつ伏せにして、尺取虫の様に体を伸縮させて前に進もうとしている。しかし、一向に体は前に進まず、ベットはぴくりとも動かない。シバラレンジャーの力を封じられ、後ろ手に縛られている状態ではろくに力も出る筈もない。そんな非力では重いベッドはとても動く訳が無かった。
「ああん!....こ...胡摩ちゃん!....み...みんなっ!」
胸のクリスタルの反応で、胡摩とのりこも縛られてしまった事は分かっていた。それでも、皆がどの様な状況なのかを知りたく、回線に近づきたくてもがいていた。
「あん!.....た....助けてっ!白銀の騎士さまっ!!」
もう最後の望みの綱、白銀の騎士にすがるるしか無い。ゆうかは大声で、白銀の騎士に助けを求めるのだった。が........
ファンダジー・ベースの外、少し離れた木陰から、じっとベースを見詰める人影があった。
「ゆ....ゆうか......」
ゆうかの恋人、実は白銀の騎士である順であった。既にゆうかのピンチは知っていて、急いでここに駆けつけて来たのだが、変身する事ができずに佇んでいた。順が白銀の騎士に変身するには、ただゆうかが縛られるだけでだめなのだ。ゆうかが縛られた上、命の危機にさらされるか、激しく責められて感じまくるかしないと、順に変身のエネルギーは送られて来ない。
「くっ.........」
順は何もできない歯がゆさに、ぐっと唇を噛み締めるのだった.........