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プロフェッサー・ちょこるの生み出した不思議な蜘蛛に、成す術無く捕らえられ、その強固な糸で縛り上げられてしまったシバラレンジャー達。もう最後の望みは、白銀の騎士しかない。しかし、ゆうかが唯縛られているだけでは、順は白銀の騎士に変身できない........

ゆうか達が縛り上げられてから、数時間が過ぎようとしていた。既に夜が明けて、朝日がファンタジー・ベースを照らし始める。周囲は更に蜘蛛の糸に覆われ、ベース全体が繭に包まれた様になっている。もう、壁を壊して中に侵入する事もできそうに無い。順は、呆然とただこの光景を眺めていた。
「順君!!」
その時、背後から声がして順は後ろを向く。遥か後方から、MEが走ってくる。
「.....ME指令!」
順は、既に電話でMEと連絡を取っていた。MEもさなえのペンダントによりゆうか達のピンチは知ることができたが、事の詳細までは分からない。ベースに連絡しても応答が無いところに、順から電話があったのだ。そこから、とんぼ帰りでME達は引き返して来たのだった。ようやく順の横に到着し、ファンタージー・ベースを見てMEは驚愕する。
「?!.......」
あまりの光景に、しばらく声も出ない。
「........な...中の状況は....分からないのか?....」
MEの言葉に、順は力無く首を横に振る。
「....だめです.....ゆうかの状況だけは分かるんですが......」
ゆうかが縛られると、順の脳裏にはその姿が映像として伝わって来る。直ぐ側に他の仲間がいればその状況も分かるが、今回ゆうかは個室で単独で縛られている為、順にはゆうかの状況しか分からない。
「....それで...ゆうかはどうなっている?」
「糸で、後ろ手に縛り上げられています。このベースを覆っているのと同じ糸です。そして.....ベットに脚を繋がれて、動けない状態です......ただ、縛られているだけで、他には何の危害も加えられていません。これは、多分他のメンバーも同じだと思います.....もっとも、だから僕は変身できないんですが.......」
「そ.....そうか.....で?...敵はどんな奴なのか分かるか?....幻縛獣なのか?」
じっと無残なファンタジー・ベースを睨みつけながら、MEは質問を続ける。
「いえ....一匹の、小さな蜘蛛です。」
「く...蜘蛛?!」
驚いて、順の方に顔を向けるME。
「そうです!....こんな小さな.....」
【第19話】  狙われたファンタジー・ベース ― Act.4 ―
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