そう言って、順は指で蜘蛛のサイズをかたどる。
「し...信じられん!....そんな小さな蜘蛛が....こんなに大量の糸を.....」
「それだけではありません!この糸は強固で、シバラレンジャーの力でも引きちぎれない様です....」
「な.....なんと......」
そこまで言って、二人はしばらく無言になってしまう。そこに、遅れてさなえが駆け付ける。
「....MEさんっ!」
「...さ...さなえ?遅いじゃないか、何をやっていた?」
「そ...それが、街に幻縛獣が現れて暴れていますっ!」
「な...何っ!!」
今度は、MEと順が同時に声をあげる。
「ギイエエエエエエエエエエエエエン!!」
街中、あちこちから炎と煙が吹き上がり、建物は崩れて辺り一面は廃墟と化している。悲鳴を上げ、逃げ惑う人々....その中を、ゆっくりと幻縛獣が歩いている。時折、辺りに火の玉を噴き散らしながら.....
「ちっ....シバラレンジャー達をこのベースに監禁して、その間に暴れ回る魂胆だったか......」
「ど...どうします?あたしだけでも現地に向かって.....」
「いや、だめだ!お前一人では幻縛獣には勝てん!....まず、ゆうか達を助けるんだ!」
そう言って、再び黙り込むME。何やら思考を巡らせているようだ。順とさなえは、黙ってMEの考えがまとまるのを待つ。
「.....まずは、どうやってあの中に入るかだが.....そうだ!!」
突然、何かに閃いて顔を上げる。そして、さなえの方に向き直る。
「ここには、昔ある富豪の豪邸が建っていたんだが、破産して廃屋になっていたのを取り壊して、今のファンタジー・ベースになった.....その取り壊しの際、地下室から抜け穴の様な洞窟が見つかった....何の為にあったのかは不明...ただ、地下室からの入口は塞いだが、穴はまだ残っている.....そこからなら、侵入できるぞ!」
「そ....その穴はどこから繋がっているんですか?」
順の言葉に、MEはさなえの左後方を指差す。
「この先100メートル程行ったところの、崖の辺りだ。」
「分かりました!あたしがそこから侵入して、皆を助けて来ますっ!」
そう言って、さなえは駆け出そうとする。
「待て!さなえっ!!」
しかし、MEにの言葉で踏み止まる。
「一人で行っても、とても皆を助けるのは無理だ!のりこと胡摩は、二人で乗り込んでも捕まってしまっている.....」
そう言われ、少し戸惑ってしまうさなえ。