「は....はい....でも...今は戦士はあたし一人しか....じゅ...順さんも、今は変身できないし.....」
しかし、MEは少しいやらしそうな笑みを浮かべながら話し始める。
「....心配するな、ちゃんと作戦は考えてある!」
ファンタジー・ベース指令室、相変わらず縛られたまゆみと華汝が、二人並んで吊り下げられている。
「んっ.......んふっ!.......」
「ふん.........はん!........」
二人とも、まだ抵抗は続けているが、もう殆ど元気が無い。もう何時間、こうして縛られて吊るされているだろうか?いくらもがいても、糸は切れるどころか緩みもしない。外との連絡もとりようが無い為、助けが来るのかどうかも分からない。二人とも俯いて、もう目の前のモニターも見ていなかった。
トレーニングルームでは、桜が縛られたまま横たわっていた。もう、何の抵抗もしていない。散々もがき続けて疲れたのか?もう無駄だと思って諦めたのか?.....良く見ると、目は涙で潤んでいた。
「.....た...たすけて.....お...お兄ちゃん....」
蚊の鳴くような声で、小さくそう呟いた。シバラレンジャーとはいっても、まだ高校出たての18歳。いつもは縛られても回りに励まし合う仲間がいるが、地下室にたった一人で長時間監禁されては、心細くなり涙も出てしまう。
レストルームでは、蜘蛛の巣に張り付けにされたのりこがまだもがき続けていた。
「んっ!......ふんっ!......んん.....あんっ!」
芯の強いのりこは、どんな逆境でもへこたれない。厳しく後ろ手高手小手に縛られ、全身蜘蛛の巣に張り付いてろくに動きも取れない状態でも、懸命に抵抗を続けていた。
その直ぐ外の通路の奥、繭と化したイプイシロンの脇では、縛られた胡摩が転がっていた。こちらは、桜同様殆ど動きは無い。ただ、全くじっとしている訳でも無い。
「あん!......ゆ....ゆうか姉さんっ!!」
いつもは、だいたい縛られている時に横にゆうかが一緒に縛り上げられている。その癖でつい声を出してしまったのか?心細くなって呼んでいるのか?時折ゆうかの名を出してもがいていた。
そして、モニターには全く映らないゆうかの寝室。ゆうかは何と、もがき疲れたのか縛られたまま眠ってしまっていた。
「.....あん!.....こ...胡摩ちゃん!......」
仲間のピンチの夢を見ているのか、時々寝言を言いながら.......
さなえは、MEに教えられた洞窟の中に居た。既に、シバラレグリーンに変身している。洞窟の中は真っ暗だが、シバラレンジャーのバイザーは暗視機能が付いている為、暗闇でも問題無く進める。そうして、洞窟の終点にたどり着く。上を見ると、人一人通れるくらいの穴があるが、コンクリートで塞がれていた。
「こ....この上ね....ようし!」
さなえは、右の拳をを握り締め、力を込める。
「やああああああああああっ!!」