勢い良く、穴を塞ぐコンクリートにパンチを打ち込む。凄まじい轟音と、振動が辺りに響き渡る。
「?!......な....何っ?!」
突然地下室が激しく揺れ、桜はびっくりして顔を起こす。
コンクリートにはヒビは入ったが、砕くまではいかなかった。さなえには打撃系の技は無い為、地道にこの作業を続けるしかない。
「はああああああああっ!!」
もう一度、思い切りコンクリートを殴りつける。
「きゃっ!!」
地下室は更に激しく揺れ、桜は少し横に転がされてしまい、思わず声を上げる。コンクリートのヒビはいっそう大きくなり、地下室側の床にもヒビが入っている。
「やああああああああああっ!!」
そして3撃目、遂にコンクリートは砕け散り、さなえの頭上に穴が空いて地下室からの明かりがスポットライトの様にさなえを照らす。
「はあああああああああっ!!」
すかさずさなえはジャンプをして、地下室内にその姿を現す。
「さ...さなえ姉ちゃん?!」
驚きと歓喜で、桜は大声をあげる。
「?!....さ...桜ちゃん?!」
桜に気付き、さなえは直ぐに側へ駆け寄る。
「だ....大丈夫?!」
「う...うん....し...縛られてるけど.....平気......」
少し涙声で、縛られた体を捩じらせて答える桜。
「で..でも、せっかく助けに来てくれたけど..だめ!..こ..この糸、あたし達の力じゃ...」
一瞬希望に満ちた表情になった桜だが、現実に立ち返って再び少し暗い表情になる。が、さなえはそんな桜の言葉を途中で制す。
「分かってる!....だから、しばらくはそのままで我慢してっ!か...必ず助けるからっ!」
そう言って、さなえは立ち上がりドアの前に行く。ドアが開かないので、横の制御板を操作しようとするが....
「だめっ!そのドア....たぶん裏側を糸で固められているの....だから.....」
縛られた体の半身を起こして、桜が指摘する。
「.....そう....分かったわ!.....」
さなえは慌てず、数歩左に移動する。そして.......
「たあああああああああっ!!」
片足を軸に一回転して、壁にキックを浴びせる。凄まじい轟音、衝撃と共に、壁は一撃で粉砕されて向こう側の通路が現れる。部屋の壁は地下の床程厚くないのと、キックの方が破壊力がある為、今度は一撃で穴が空いた。
「さ.....さなえ姉ちゃん?!.....」
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