桜は、目を丸くした。シバラレンジャーに変身しているのだからこのくらいの力はあるが、さなえがここまで派手に立ち回りをしているシーンにはあまり出くわしていない為、少々カルチャーショックを受けていた。
「待っててね!桜ちゃん!!」
そう言い残して、さなえは通路に出て走り去って行った。

1階に上がり、更に通路を走って行くさなえ。すると、急に横から糸が飛んで来る。
「きゃあっ!!」
間一髪のところで、前方に転がり込んで交わすさなえ。だが、息を付く暇は無い。糸は次から次へと飛んで来る。
「きゃっ!......あんっ!.....」
何とか交わしているが、のりこの時と違い何とも危なっかしい。このままでは、直ぐに捕まってしまいそうだ。
「リーブス・ストリーム!!」
本人もそれを察してか、目くらましのリーブス・ストリームを放った。凄まじい葉っぱの渦が、さなえの姿を覆い隠す。さしもの蜘蛛も、これでさなえを見失う。ストリームが収まった時には、もうそこにさなえの姿は無かった。

一難逃れ、また別の通路を掛けているさなえ。彼女の目的は、あの蜘蛛を退治する事でも、縛られた仲間を助ける事でも無かった。ある目的地に向かって、ひたすら疾走していた。だが.....
「あっ!........」
突然、足首に糸が巻き付いた。
「きゃんっ!!」
その糸に引っ張られ、転倒してしまうさなえ。とうとう、蜘蛛に捕まってしまった。
「あん!....ああんっ!」
転んで動きの止まったさなえは格好の餌食である。瞬く間に体に糸を噴き付けられ、腕と脚を縛られて行く。
「ああん!.....だめっ!」
更に蜘蛛はさなえの背中に這い登り、彼女の両手首に糸を巻きつける。そして、例の霧状の液体を噴く。
「あん!あああああんっ!」
糸が収縮し、強い力で厳しく後ろ手高手小手に捩じ上げられるさなえ。蜘蛛は、間髪入れずに捩じ上げた両手首も糸で縛る。
「あん!.....んっ....はあんっ!!」
これでジ・エンド。さなえも完全に後ろ手高手小手に縛り上げられてしまった。足も糸で壁に繋がれている為、もう一歩も先へ進む事すらできない。
「ああんっ!も....もうだめだわっ!....ふうんっ!!」
縛られてうつ伏せになった体勢で、さなえはがっくりと頭を垂れる。もう最後の望みも絶たれ、意気消沈といった感じである。蜘蛛は、満足したのか素早く壁を這い、何処かに行ってしまう。それを感じ取ってから、さなえは急に顔を上げる。
次頁へ
前頁へ
目次に戻る