「........なんちゃってっ!.....ここまでは想定済みよっ!!」
さなえは、不自由な体勢で首を後ろに向け、厳しく後ろ手高手小手に捩じ上げられた自分の両手に目をやる。背中の高い位置で重ね合わされて縛られた両手は、ぐっと強く握り締められている。
「んっ.......あんっ!....」
さなえは、その握り締めた、左手をそっと開く。すると、中から掌サイズの小さなコガネムシが現れる。いや、正確に言うと、小型のコガネムシメカが現れる。
「もう、あなただけが便りよ!....お願いっ!」
すると、コガネムシメカは羽根を広げて飛び立ち、通路の向こうへ飛び去って行った。
遂にさなえまで縛り上げられ、シバラレンジャー全員が蜘蛛の糸に縛られてファンタジー・ベース内に監禁されてしまった。街では幻縛獣が暴れ回っているが、シバラレンジャー達にはどうする事もできない。順も変身できない。だが、さなえはこの非常事態も“想定済み”と言っている。一体、この厳しく後ろ手に縛り上げられた状況の中で、どの様な秘策があるというのか?そして、さなえが放ったコガネムシメカの目的は........
( つづく )