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プロフェッサーちょこるの造り出した不思議な蜘蛛。その蜘蛛の糸に捕らえられ、縛り上げられてファンタジー・ベース内に閉じ込められたシバラレンジャー達。最後に残ったシバラレグリーン・さなえも、秘密の地下道からベース内に侵入したが、あっさり捕まって後ろ手高手小手に縛り上げられてしまった。だが、実はここまではMEの作戦通りであった。縛られたさなえは、その手に握っていた小さなコガネムシメカをベース内に放った。果たして、MEはこのコガネムシメカに何をさせるつもりなのか?.........

さなえの手から飛び立ったコガネムシメカは、通路の彼方へ飛び去って行く。さなえは縛られた体を少し捩りながら、飛んで行くコガネムシメカを見送っている。
「あん!......あとは.....お願いっ!.....んふんっ!」
しばらく通路に沿って飛んだ後、コガネムシメカは手近な排気口の中に飛び込んで行った。

その頃指令室では、まゆみと華汝が再び落胆の声をあげていた。
「ああん!....さ...さなえっ!」
「あん!こ....これで、シバラレンジャー全員が縛られちゃった....はあんっ!」
そう言って、二人とも頭を垂れてしまう。少しもがいたので、縛られて天井から吊り下げられた二人の体が、わずかに前後に揺れている。その彼女達の前方にのモニターのひとつに、縛られてもがくさなえの姿が映っている。その他のモニターにも、縛られたシバラレンジャー達の姿が交替で映し出される。
そのひとつ、レストルームののりこは........
「あん!.....な...なんとかしなくっちゃっ!...うん!ううんっ!!」
まだ諦めずに、懸命にもがき続けていた。しかし、他の者達より厳重に固定されているので、必死にもがいても体は殆ど動かない。厳しく後ろ手高手小手に締め上げられた両手は、胸と一体に縛られているだけで無く後ろの蜘蛛の巣にびったり張り付いている。膝と足首も厳しく糸で縛られた上、蜘蛛の巣にぴったり張り付いている。これではいくら暴れ様としても、ほんの少し体が捩れるのと、唯一固定されていない首が盛んに振れる程度である。
「し...指令が、き..きっと助けに来てくれる....あん!....そ...それまでは....ま...負けるもんですかっ!....あんっ!」
その直ぐ外の通路の端、糸でぐるぐる巻きにされたイプシロンの横では、胡摩が力無くもがいていた。
「あん!.....ゆ...ゆうか姉さん....みんな.....た...助けて....はんっ!」
厳しく後ろ手高手小手に縛り上げられてはいるが、のりこに比べれば遥かに体は動く。が、気の弱い胡摩は既に戦意を喪失して、時折力無くもがくだけで殆ど抵抗はしていない。唯々、誰かに助けを求めるだけだった。
そして、先程さなえが侵入して来た地下のトレーニングルーム。ここでは桜が、さなえが縛られてしまった事にショックを受けていた。
【第19話】  狙われたファンタジー・ベース ― Final ―
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