しばらくして、戦闘員A〜Eは後ろで順番待ちをしていた戦闘員F〜Jと交替する。こうして、シバラレンジャー達は代わる代わる戦闘員達に弄ばれていった。その光景を、ヨッシーは腕組みをしてじっと眺めていた。
『今のうちに、十分楽しんでおくんやで....残念ながら、この後の策は何もあらへんさかいなあ..』
ヨッシーは、この後必ず白銀の騎士が現れるであろう事は確信していた。しかし、さすがの策士ヨッシーも白銀の騎士を倒す策までは思い付かなかったのであった。
一方ゆうか達は、耐え難い屈辱の中にいた。いつもなら軽くあしらう戦闘員達に完全に自由を奪われ、いい様に弄ばれてしまっているのである。しかし、厳しく後ろ手に縛り上げられている身では、全く抵抗ができない。彼女達に今できるのは、ひたすらもがく事と、喘ぎ声を上げる事くらいであった。特にゆうかは、自責の念にも押しつぶされそうになっていた。
『ああん!あたしが簡単に罠にかかっちゃったばっかりに、皆、縛り上げられてしまったんだわっ!...なんとかしなくっちゃっ!でも、どうすることもできないっ!...ああっ!た、助けてっ!誰かっ!....白銀の騎士さまっ!』
その時、ゆうかの心の悲鳴に答えるかの様に、窓から白銀に輝く光の玉が飛びこんで来て、ゆうか達にいたずらをしている戦闘員達を吹き飛ばす。そして、光の玉は彼女達の前で、銀色のバトルプロテクターを身に付けた一人の戦士へと姿を変える。
「錆びれた廃屋の中にあっても、決してその光を失わない、気高く清らかな花五輪!その花を汚す悪党ども!この白銀の騎士が許しはしない!」
「白銀の騎士様っ!」
今回は特に嬉しかったのか、5人は、はもって奇声を上げた。逆にヨッシーと戦闘員達はたじろぎ、後ずさりを始める。
「あ..現れおったな..白銀の騎士..こ、こうなったら最後の手段や!...みんな、逃げるでえっ!」
そう言ってヨッシーは凄まじい勢いで、部屋を走って出ていった。
「よ、ヨッシーさまああああああっ!」
慌てて戦闘員達も、我先にと猛スピードで逃げ出してしまった。
「逃さん!」
白銀の騎士は再び光の玉となり、窓の外へ飛んでいってしまった。
「ま、待ってくださいっ!」
「あんっ!縄を、縄を解いて行ってくださいっ!」
シバラレンジャー達の叫びも虚しく、既に白銀の騎士と戦闘員達の姿は何処にもいなくなってしまった。
廃墟ビルを離れ、荒野を走って逃げるヨッシーと戦闘員達。しかし、その前に白銀の騎士が立ちはだかる。
「逃がさんぞ!悪党ども!」
「な?!いつもは逃げてく連中を追っかけたりせんやないか!...こっちは戦闘員ばっかやで、そない目くじら立てる事もないやないか!」
「そ...そう、そう。俺達みたいな雑魚に真剣にならなくてもいいでしょう!...」
「シバラレンジャー達にあれだけの事をしておいて、ただで済むと思っているのか?一瞬で一掃されたのでは不満なのだろう?この私が一人前の悪党として成敗してやろう!」