「いいかげんにせんか!プロフェッサーちょこる!」
「ふふふ...この辺で許してあげましょうか?...止まれ!ナワナワ!」
ちょこるの叫びで、ミキを厳しく縛り上げていた縄は締め上げるのを止め、ゆっくりと緩んでいき、彼女の体を離れ動かなくなる。しかし、あまりの刺激に悶えまくり、体力を失ったミキはうなだれて、しばらく動くこともできなかった。
「な...何なのだ?この縄は?」
「これは私が造り上げた、縄状特殊生命体です。私の脳波に反応して、私が標的と決めた女性に絡みつき、厳しく縛り上げ、締め続けるのです。単細胞生命体ですので、ばらばらになっても死ぬことはありません。ですから、一度縛られてしまえば、助かることは殆ど不可能でしょう。解いても直ぐに縛り直してしまいます。切断しても、先程の様に更に苦しみを増してしまうだけです。このナワナワを倒すには、完全に消滅させるしかありません。しかし、そんな事をすれば、縛り上げられている女性も....」
「成る程....例え白銀の騎士が現れても、シバラレンジャー達を助けられないという事かの。」
「そうです!」
「なまぬるい!そんな事をしても、奴は、白銀の騎士は痛くも痒くもないではないか!」
「いいえ!苦しむシバラレンジャー達を前にしても、自分は何もできない...正義感の強い相手に、これ程の苦痛があるでしょうか?」
『おもしろい!やってみるが良い、プロフェッサーちょこる!』
ようやく、魔王ナーワーが口を開いた。ちょこるはナーワーの方へ向き直り、左手を胸の前に水平にかざし、軽くお辞儀をする。
「ありがとうございます、ナーワー様。必ずやご期待に沿えてみせましょう。」
『コマンダー・ミキ!ちょこるの手助けをしてやるが良い!』
「は....し...しかし、ナーワー様....この様な者を、か...簡単に信用なさっては....」
ミキはまだ、先程のダメージが残っていて立ちあがることができない。
「コマンダー・ミキよ、お主は先程ちょこるを子供と言ったがの、こやつはわしと殆ど同い年じゃ。この様な若い姿でいられるのは、こやつのバイオテクノロジーの賜物じゃよ。」
「え?!...」
「ここで恩を売っておけば...永遠に若さを保てる様にしてもらえるかもしれんの...」
「プロフェッサーちょこる様!何なりとお申しつけ下さい!このコマンダー・ミキ、あなたの手足となって働きましょう!」
どこにそんな元気が残っていたのか?ミキは突然立ちあがり、ちょこるの前に駆け寄って跪いた。
「よろしくお願いしますよ。コマンダー・ミキ....」
「やれ、やれ.....」
ジャルバス将軍は呆れて溜息をついた。
午前9時、仕事を終えた華汝が帰路に着いていた。ホステスをやっている彼女は、深夜の勤務が殆どで残業があれば帰りがこの時間になる事も多かった。いつも通る公園の前に差し掛かった時、彼女は、公園内で女性が何者かに襲われているのを目撃する。