MEの実家は、今は過疎化が進んで殆ど人の住んでいない山奥にあった。彼の家には大きな蔵があり、その中には遥か昔から保管されている骨董品や書物が沢山あった。ある日彼は蔵の中で、美しく輝く5つの石と、その石にまつわる話を記述した古文書を見つけた。それには次の様な事が記されていた。
遥か昔、この村のさらに山奥に”しばられ人”と呼ばれる人々が住んでいた。しかし、何故かこのしばられ人は、他村との交流を避け、自分達だけでひっそりと暮らしていた。それはしばられ人が他の人達に無い、特殊な力を持っていたためであった。ある日、それを裏付ける事件が起こった。しばられ人の女性は皆天女の様に美しい顔立ちをしていたため、それに目をつけた村の物が、しばられ人の女性をかどわかそうとしたのだ。たまたま、一人の女性が村から出てきた時を見計らい、数人で襲いかかり、彼女を厳しく後ろ手に縛り上げてしまった。その時、その女性が身に付けていた石が激しい輝きを発し、縄は飛び散り、女性は奇妙な衣をまとった姿に変ってしまったのだ。そして、およそ女性とは思えないほどの力で男たちを振り払い、逃げていってしまったというのである。
しかし、しばられ人の中にも、わずかではあるが他の村の人と交流を持った者達もいて、子孫を残していた。M Eの家はそうではないらしいが、しばられ人と何らかの交流があり、彼の家に古文書やしばられ人の持っていた石等が保管されていたのだ。また、しばられ人の中には予知能力を持っていた者もいたらしく、予言書の様な物も残されていた。その殆どは既に過去となってしまった物だったが、全てが当たっていた。そして、唯一まだこれから起る事の予言があった。それは、ナーワー帝国の出現を予言する物であり、それと闘う為に、5人のしばられ人の子孫が集うとあったのである。
「でも、指令はそれを見ても半信半疑だったんだけど、ある日あたしと出会ってそれを確信したらしいの。」
「ゆうか姉さんと...どんな出会いだったんですか?」
「ちょっと恥ずかしいんだけど..あたしその時公園で、子供達と鬼ごっこをしていたの。ちょうど捕まって、縛られて連行されてるとで...そこにME指令が通りかかって、ちょっとパニクっちゃって指令とぶつかっちゃったの。その時、たまたま指令が持っていたしばられ人の遺産の石が、私の体に触れて輝いたの。」
「その石って、あたしたちが身につけている...」
「そうよ!このペンダントに組みこまれている石よ!」
「それで...変身しちゃったんですか?」
「ううん、光っただけ。その時は、恥ずかしくて逃げちゃったんだけど...しばらくして、また偶然公園で会った時、その話を指令に聞かされたの。最初は信じられなかったけど、何度かお話している内に、とてもうそをついている様に思えなくなって、一度試してみようって事になったの。」
「え?...何をですか?」
「へっ!...変身をよ!...あんっ!」
ずっと後ろ手に縛り上げられているため、体に軽い痛みが走り、ゆうかは少し肩を振る。
「まず、石を持って縛られてみたんだけど、光すら出なかったの。いろいろ縛り方を変えてみたけどだめ。それで、何か合い言葉でも言うのかなって思って、半分冗談で”シバラレ・チェンジ!”って叫んだらビンゴ!変身する事ができたの。」
「す...すごい偶然ですね。」