そう考えた彼らは、計画を実行に移した。
彼らは、しばられ人の村の近くに潜み、女性が村の外へ出てくる機会を待った。そして、一人の女性が出て来た時、一斉に襲いかかり、彼女を抑えこんだ。最初に、彼女が身に付けていた石を取り上げ、その後で後ろ手に縛り上げた。彼らの予想通り、彼女は姿を変える事ができなかった。だが、そこで予想外の事が起こった。既に姿を変え、奇妙な衣を纏った彼女の仲間が助けに来たのだ。
一人、二人、彼らの仲間は簡単に倒されていく。あわてた一人の男は、とっさに縛り上げたしばられ人の女性に刃物を突き付けた。この人質作戦は効果があり、しばられ人の仲間の女性は抵抗する事ができなくなってしまった。言われるままに両手を背中に組み、彼らに縛り上げられてしまった。その女性が纏っていた衣は肌の露出が多いため、男達の欲望を駆り立て、彼らは縛り上げた女性にいたずらを始めてしまった。不思議な事に、縛られた彼女は、それまで発揮していた力を全然使えない様であった。激しい責めに、悶えまくる彼女。
とその時、激しい稲光が起こり、空が裂け、その中からからくり仕掛けの巨大な鳥と、その鳥に乗って銀色の鎧に身を包んだ一人の男が現れた。あまりの恐ろしさに、男達は一目散に逃げ出してしまった。それ以後、しばられ人の女性に手を出そうとする者はいなくなったという。
「そ、その銀色の鎧に身を包んだ男って...」
話を聞き終えたゆうかが、目を丸くして尋ねる。
「白銀の騎士と考えて、間違いないだろう!」
「じゃあ、からくり仕掛けの巨大な鳥って...ギルディオン?」
華汝が続く。
「おそらくそうだろう!」
「白銀の騎士様って、そんな大昔からいたんですか?」
今度は、のりこが尋ねる
「今の白銀の騎士とは違うだろう...おそらく、今の白銀の騎士はその子孫....君らと同じ様に。」
「じゃあもしかして....白銀の騎士の正体は、しばられ人の男性?」
「その可能性が高い。女性に特殊な力があるんだ、男性にも何らかの力があったと考える方が自然だ!」
しばらく黙って聞いていたまゆみが、ようやく口を開く。
「でも、その古文書の内容だけじゃ、どうやって変身したのか分かりませんよね。」
「あたし達みたいに、後ろ手に縛り上げられると変身できるのかしら?」
胡摩がそう言いながら、自分の手を背中で組む。MEは、左手を顎のあたりに当て、少し考え込んでからゆっくりと答える。
「これは俺の推測だが...君らが変身後に縛られると、力が使えなくなる事に何か関係している様な気がする。」
「え?!」
「この古文書にある様に、昔のしばられ人も変身後に後ろ手に縛り上げられると、力が使えなくなってる。そして、ピンチに陥った時に白銀の騎士が登場している。君達の今迄の闘いを見ても、変身後に後ろ手に縛り上げられて、ピンチに陥った時、白銀の騎士が助けに来ている。....つまり、この状況にならないと白銀の騎士は出てこないんだ。」