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一応、ME指令と分からない様、変装をしている。ゆうか、のりこ、胡摩の3人が、物陰からそれをじっと見ていた。MEはドアをノックして、NWカウンセリングの事務所に入って行く。
「いらっしゃいませ!」
受付の綺麗な女性が、笑顔で迎えてくれる。
「直ぐに、カウンセラーを呼びます。右手の1号室に入ってお待ち下さい。」
言われた通り、”1号室”と札のある部屋に入り、ソファーに腰を下ろすME。程なくして、先程の受け付けの女性が、麦茶を運んで来る。MEは軽く頭を下げる。女性は大きくお辞儀をして、部屋を出て行く。2〜3分程待って、ようやくカウンセラーが入ってくる。がっしりとした、体格の良い、カウンセラーというよりスポーツ選手の様な、若い男であった。カウンセラーは、MEの向かいのソファーに腰掛ける。
「お待たせしました....単刀直入で申し訳ありませんが、どの様なお悩みをお抱えですか?」
「え..ええ...」
MEは少し緊張しながら、速攻で考えた台本通りに話始める。
「じ..実は、部下の女の子達の事で...ちょっと悩みがありまして....」
「ほう.....シバラレンジャー達がどうかしたんですか?ME指令...」
「な?!....」
正体がばれている!そう気付いた時にはもう遅かった。MEは既に、カウンセラーと名乗る男の催眠術にかかってしまっていた。次第に意識が遠のいて行く、ラビ子を呼ぶ暇も無かった。
「ようし!良くやったわ!サイミンガー!」
受付の女性が飛び込んでくる。言うまでも無く、彼女はコマンダー・ミキの変装である。
「グウェグウェグウェグウェエエエエエエエエエエエッ!」
カウンセラーの男は、見る見る姿を変え、幻縛獣サイミンガーとなる。MEは目の焦点が合わず、呆然とサイミンガーの前に座っていた。

しばらくして、MEがビルから出てくる。数十メートルくらい歩いたところで、ゆうか達が合流する。
「早かったですね、指令!」
「な、何か分かりましたか?」
しかし、MEは全く反応せず、黙々と歩き続けている。
「指令!」
更にゆうかが、MEの腕を掴んで声を掛ける。ようやくMEは、低いトーンの声でぶっきらぼうに答える。
「あ..ああ....基地に戻ってから話す.....」
どうも、指令の様子がおかしい。そう思いながらも、ゆうか達はME指令共に、ファンタジーベースへ戻っていった。

ME達がNWカウンセラーに出掛けている頃、桜はファンタジーベースの中を探索していた。立ち入り禁止区域は全て電子ロックが掛けられていたが、さすがはMEの妹分、桜は巧みに電子ロックを外し、内部に入り込んでいた。最初にたどり着いたのは、シバラレクイーンやイプシロンの格納庫だった。
「す..すごい...このロボット、お兄ちゃんが造ったのかしら?」
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