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「どうしたの?胡摩ちゃん。」
「すいません、ゆうか姉さん。ちょっと気になる物があって....」
そう言って、胡摩はホールの入口にある掲示板を指差した。ゆうかは掲示板に近づいて、そこに貼ってあるチラシを覗き込む。
「...ブライアン・バクスター緊縛美の世界....何?これ?」
「最近、売りだし始めたアーティストです。女性の緊縛画ばかり描いているみたいですが、今ここで個展を開いてるんです。」
「ふうん...面白そうね...でも、これがどうかしたの?今時、こんなの珍しくないでしょ。」
「そこの、隅に載っている絵の写真を見て下さい。」
ゆうかは、言われるままにチラシの隅に目を移す。そこには、彼の作品の幾つかが、小さな写真で載っている。そのひとつを見て、ゆうかの目の色が変る。
「こ...これは?......」
それは、6人の少女が連縛されている絵であった。そして、その少女達の格好は.......
「し...シバラレンジャー?!」
「そうです!シバラレンジャーの存在は、一般には知られていない筈です。何でこんな絵が描けるのか.....」
シバラレンジャーの存在は、一応極秘を保たれている。実際にナーワーに襲われ、彼女達に助けられた者もいる訳だが、不思議な石の力で、彼女達の姿は写真や映像には写らない。その為、その姿を鮮明に記憶する事は難しい。ましてや、実際に彼女達を見ていないと思われる外国の画家に、ここまで正確なシバラレンジャーの絵が描ける筈が無い。
「何か怪しいわね....入って見ましょう!」
「はい!」
ゆうかと胡摩は、ホールの中に入って行った。中には、数多くの緊縛画が飾られていた。あまり知られていないのか、ホールの中は閑散としていて殆ど観覧者がいなかった。普段なら、じっくりと見て回るであろうゆうかだが、今回はそんな余裕は無く、早足で目的の絵を捜した。ホールのほぼ中央に、その絵はあった。実に、人の姿が原寸大で描いてある大きな絵だった。6人の女戦士が、厳しく後ろ手に縛り上げられ、悲壮な表情で立っている。それは、間違い無くシバラレンジャー達であった。そのコスチュームはもちろん、少女達の顔も、ゆうか達そのものだった。
「ゆうかさん...これ、やっぱり.....」
「間違い無い!...こんな絵が描けるのはナーワーだけよ!」
「ほっほっほっ....わしの個展は気に入ってもらえたかの?」
突然の背後からの声に、慌てて振り向くゆうか達。そこに立っていたのは......
「ど...ドクターb.b!」
「やはりナーワー!....いったい何を企んでいるの?」
「ふふふ...今に分かる....それっ!」
ドクターb.bの合図で、柱の影から戦闘員達が現れる。
「胡摩ちゃん!変身よ!」
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