「むっ!むふううううんっ!」
ぶつかると思い、思わず目をつぶる桜。しかし、桜の体は、岩の壁に吸い込まれる様に中に入っていった。目を開けると、桜は洞窟の中に居た。
(ど..どういう事?洞窟なんて見えなかったのに....何か、仕掛けがしてあるのかしら?)
戸惑う桜を、またロボットがこづく。仕方なく、桜は洞窟の奥へと歩いて行く。しばらくして、前方に明かりが見えてくる。どうやら終点の様だ。
明かりのある部屋の中に入って、桜はまた驚く。洞窟の部屋の中には、様々な近代設備の装置が敷き詰められていた。まるで、悪の秘密結社の基地の様だ。
(ま..まさかナーワー帝国の前線基地じゃ?.....)
桜は、キョロキョロと中を見渡す。
(さ..さらわれた女の子達は?.....)
部屋の奥に、人一人が入れるくらいの大きさのカプセルが、4つ並んでいた。そのカプセルの中には、厳しく後ろ手に縛り上げられ、猿轡を噛まされた女の子達が入れられていた。気を失っているのか、皆がっくりと首を垂れている。
「ふふっ、新しい素材が手に入ったわね。今度こそ、成果が得られるといいけど....」
カプセルの横で、何かの装置を操作していた女が、ゆっくりと桜の方を振り向いた。背の高い、いかにも理系という感じのインテリっぽい女性で、眼鏡をかけて白衣を着ている。彼女は、装置の脇にあるボタンを押す。轟音と共に、4つのカプセルの横に、もうひとつカプセルが出現する。
「さあ、その娘もこのカプセルの中に入れなさい!」
女の指示に従い、ロボットは、カプセルの方へ桜を連行していく。
(あん!このままカプセルに入れられちゃったらだめだわっ!早く変身しなくっちゃっ!)
「んんっ!んっ!....むん!むふううううううんっ!」
桜は懸命にもがき、猿轡越しに女に語り掛ける。桜は、後ろ手に縛り上げられる事で、シバラレンジャーに変身する事ができる。しかし、変身するためには、桜が首に掛けているペンダントに付いている石(しばられ人の残した物で、不思議な力がある。)に、自分の声を吹込む必要があるのだ。その為には、猿轡を外さなければならない。しかし、厳しく後ろ手に縛られている桜は、自力で猿轡を外す事ができない。だから、何とか女の気を引いて、猿轡を外させようとしているのだ。
「おとなしくなさい!別におかしな事はしないわ。ちょっと、あなたの体を調べさせてもらいたいだけよ!」
そう言って、女は再び桜に背を向け、機械の操作を始めてしまう。ロボットは、暴れる桜を強引にカプセルの方へ引きずって行く。
「んふうううんっ!んんっ!んっ!むむむむんっ!」
当てが外れた桜は、必死に縄を解こうともがくが、がっちりと縛り上げられているため、どうにもならない。
(あん!しまった!このままじゃ、カプセルに入れられちゃう!...な..なんとかしなくっちゃっ!あん!あんっ!)
その時、桜のペンダントがわずかに光を発した。横目でそれを見ていた女は、慌てて桜の方を振り向く。
「そ...そのペンダント....ちょっと待ちなさい!」