女は、ツカツカと桜の前まで歩み寄って来る。そして、桜のペンダントを手に持って見詰める。しかし、もうペンダントは何の光も発していない。女は、桜の猿轡を外す。
「このペンダントはあなたの物?」
「そ..そうよ!」
「何処で手に入れたの?」
「何でそんな事を聞くの?これがどうかしたの?」
「質問に答えなさい!」
女は、ヒステリックに桜を怒鳴り付ける。桜は、渋々答える。
「....う..家の蔵の中にあったのよ....」
「じゃ..じゃあ、あなたはしばられ人の子孫?.....」
「しばられ人?!....何であなたがその事を?」
「や...やっぱりそうなのね!...ふふふ..やっと見つけたわ!」
桜は、ちょっと考え込んで、ようやく状況を理解する。
「....なるほど、しばられ人の子孫を捜すために、村の女の子達をさらったのね!」
「そうよ!...でも、やっと手に入れたわ!これで、あたしの研究も一気にはかどるわ!」
「冗談言わないで!あなたのモルモットなんて御免よ!....シバラレ・チェンジ!」
「えっ?!」
桜の声に反応して、桜のペンダントから眩いばかりの光が一斉に放射される。
「きゃああああああっ!」
その勢いに、女とロボットは跳ね飛ばされる。光は桜を包み込み、桜を縛り上げていた縄は消滅する。そして、光の中から、紫のコスチュームを身に纏った、一人の女戦士が誕生する。
「北風のラベンダー!シバラレバイオレット!」
変身した桜の姿を見て、女は呆然とその場に佇む。
「し...シバラレバイオレット...そ..それが、伝説のしばられ人の力?......」
「そうよ!何の為にしばられ人を研究していたのか知らないけど、何の罪も無い女の子をさらって、縛って閉じ込めた上にモルモットにするなんて、絶対に許せない!....月に代わって..じゃなくて、天に代わって、このシバラレバイオレットがお仕置きしてあげるわっ!」
身構える桜に、女は不敵な笑みを返す。
「お仕置き?....それこそ冗談じゃないわ!やっと見つけた貴重な実験材料を、みすみす逃してたまるもんですか!やれっ!ロボット軍団!」
女の号令により、何処から沸いて出たのか、部屋中に先程の骨組ロボットが何十体も集まって来た。そして、一気に桜に襲い掛かって来る。
「えいっ!....やあっ!」
しかし、桜のパンチとキックの前に、ロボットは次々と破壊されていく。
「こんな原始的なロボットに、やられるシバラレバイオレット様じゃないわよ!」
シバラレバイオレットに変身した桜は、通常の10倍の力を発揮できる。殆ど骨組みだけの非力なロボットでは、歯が立つ筈がなかった。骨組ロボット軍団は、あっという間に一掃されてしまった。
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