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「ご自慢のロボット軍団はこの通りよ!観念してお縄に付きなさい!」
しかし、女は悔しそうな表情ひとつも見せなかった。それどころか、むしろ喜びに打ち震えていた。
「す...すばらしいわ!これが、しばられ人の力!...ああ、いったいどういう原理なのかしら?早く、早く調べたいわ!」
桜は、呆れて呆然としていた。この女、自分の立場が分かっているのだろうか?どうもマッドサイエンティストというのは始末に負えない。
「あのねえ!これからあたしに捕まるあなたが、どうやってあたしを調べるっていうのよ!」
「あたしを捕まえる?....ふふっ、その言葉は、こいつを倒してから言って欲しいわね!」
女は、白衣のポケットから小型の機械を取りだし、そのスイッチを押す。すると、部屋全体が大きく振動を始める。
「な..何?」
そして、左側の壁が大きく開き、中から体長5メートルくらいはありそうな、大きなロボットが現れる。これは、骨組だけではなく、全身鋼鉄で囲まれている。一昔前の、ロボットアニメに出て来そうなロボットである。
「やれ!JR−1!」
「GAAAAAATS!」
ロボットはその巨大な腕で桜に殴りかかる。
「きゃっ!」
さしもの桜も、これはよける。ロボットの腕は、床を突き破って、地面に大きな穴が空く。
「じょ...冗談じゃないわ!あんなパンチをまともにもらったら....」
ロボットは、今度はもう一方の手でパンチを放つ。桜は、大きく交わして後ろに跳ぶ。
「バイオレット・ソーサー!」
桜は、後方に跳びながら、ソーサーを放つ。しかし、ロボットの装甲は厚く、ソーサーは難無く跳ね返されてしまう。
「きゃっ!」
跳ね返ったソーサーが足元に飛んできた為、桜はバランスを崩して転倒してしまう。ロボットは、その隙を逃さなかった。ふたつの巨大な腕が桜を捕まえ、その両手を背中にねじ上げてしまった。
「あっ!あんっ!」
何とか逃れ様ともがく桜。しかし、後ろ手にされてはどうする事もできない。桜は、後ろ手に縛り上げられる事によって、変身して超人的な力を得るが、変身後に後ろ手にされてしまうと、その力を全く使えなくなってしまうのである。
「はああああんっ!あん!あんっ!」
ロボットは、締め付ける力を強める。更に厳しく後ろ手に締め上がられ、桜は悶え喘ぐ。
「どうしたの?それでおしまい?....さあ、あなたの力をもっと見せて!」
女は、更なる桜の反撃を期待していた。しかし、後ろ手にされてから、桜は全く反撃の素振りを見せない。不信に思い、桜の前に歩み寄る。
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