丁度その時、一組のカップルが通りかかった。ゆうかは思わず顔を伏せる。
(や..やだ、人が来ちゃった。は..恥ずかしい.....)
早く行って欲しいと思うゆうかだが、何とそのカップルは、ゆうか達に向かってゆっくりと歩み寄って来た。
(いやあん!見ないで!...やだ、変に思われちゃったのかしら?)
順が、説明しようとするが、そのカップルの女性の方が、早足で順を交わし男の子に話し掛ける。
「ねえ!お姉ちゃんたちも仲間に入れてくれない?」
「うん!いいよ!...でも、お姉ちゃんは悪者役だよ!」
「いいわよ!ありがとう!」
ゆうかは、しばらくきょとんとしていた。しかし、だんだん嬉しくなって来た。自分と同じ様に、鬼ごっこが好きな人が居た。また、新しい仲間が増えた。何となく、幸せな気分になるゆうかであった。
その女性の名前はレイコ、男性の名前はデルビルと言った。レイコはウェスタン風の、黄色いベストとミニスカートを着て、白のショートブーツを履いていた。デルビルはこの暑いのに、茶色の皮ジャンを着て、白のスラックスを履いていた。ゆうかとレイコはたちまち意気投合した。二人とも真っ先に捕まり、後ろ手に縛り上げられて、木に繋がれて放置されてしまった。懸命に縄を解こうともがきながら、色々と話しをする内に、自分達の好みがとても似通っている事が分かったのだ。
「ああん!レイコ...もっと体をこっちに向けてっ!」
「あん!これでいっぱいなの!...がんばって!ゆうかっ!」
何とか口で、レイコの縄を解こうとするゆうか。二人は捕らわれのヒロイン気分を満喫していた。一方、影でそれを眺めている男性陣も、縛られてもがく女性達のしぐさを、興奮して眺めていた。
「いやあ、ゆうかちゃんて、結構セクシーだね。感じちゃうよ俺。」
「デルさん達も、良くこういう事するんですか?」
「う..うん...まあ、たまにね。現実のほうが多かった.....い..いや、何でも無い。」
「...デルさん達って、何処に住んでるんですか?この辺じゃ見掛けませんよね...」
「う..うん...まあ、ちょっと旅行で来たんだよ。家は、もっと遠くの方で.....」
何か、受け答えにきな臭い物を感じた順だったが、それ以上は聞かなかった。そもそも順は、デルビルとレイコに自分達とは違う、何か異質な物を感じて警戒していた。
夕方になって、鬼ごっこが終わり子供達と分かれるゆうか達。公園には、ゆうか、順、レイコ、デルビルの4人だけが残った。その時、ゆうかの胸のペンダントが一瞬光った。順は、気付いていたが見ていない振りをした。だが、レイコとデルビルは、それをしっかり見ていた。
「あ...そうだ!ご..ごめんなさい順君!今日の夜、館長に呼ばれていたのを忘れていたの。このあと食事に行く約束だったけど、また今度にして。」
「そ..そうかい。い..いいよ、食事なんていつでもできるから。行っておいで...」
「ありがとう。本当にごめんなさいね!....あ..レイコ、今日は楽しかった。今度、あたしのホームページにも遊びに来て!」
既にゆうかは、レイコにHPのアドレスを教えてあった。
「うん、必ずお邪魔する...今日は楽しかったわ、ありがとう。」
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