「待って!」
今にも襲い掛かって来ようとするツカサを、ゆうかが制止する。
「あなたも、しばられ人の子孫なんでしょ。だったらあたし達、同じ血を引く仲間じゃない!何で闘わなくちゃいけないの?....ナーワーなんかに手を貸すのはやめて!しばられ人の力を、悪用しないでっ!」
しかし、ツカサはゆうかの言葉を鼻で笑った。
「ふん!同じ血を引く仲間?笑わせないで!...こんな僻地で、のうのうと暮らしていたあなた達なんかには分からないでしょうが、あたしが今迄どでだけ地獄を見てきたか.....正義?悪?そんな物、平和な世界で過保護に育ってきた者の妄想よ!強い物しか生き残れない。あたしはそういう世界で生き残ってきたのよ!.......まあいいわ。今からあなた達にも、たっぷりと地獄を..いや、天国かもしれないわね。味合わせてあげる。」
言い終わるより早く、ツカサはゆうかに向かって走り出す。はっとするゆうかだが、あまりに速いツカサの動きに、一瞬姿を見失う。
「あっ!あんっ!」
いつの間にか、ゆうかはツカサに後ろを取られ、両手を背中の高い位置にねじあげられてしまっていた。
「ゆうか姉さん!」
胡摩がツカサに飛び掛る。だが、一瞬にして、ツカサはゆうかと共に姿を消してしまう。
「ど..何処に行ったの?」
胡摩を始め、シバラレンジャー全員がツカサとゆうかの姿を見失う。
「ここよ!」
声の方へ振り返るシバラレンジャー達。ツカサは、100メートル程後方の街灯の脇に立っていた。そしてゆうかは、手首を厳しく後ろ手に縛り上げられ、胸、膝、足首も厳重に縛られ、ツカサの脇の街灯の上から逆さ吊りにされていた。
「あんっ!..ま..まゆ姉ちゃん..みんな...ああんっ!」
「ゆうかっ!」
「ふふふっ..秘技!ツカサ吊りよ!さあ、次は誰を縛ってあげようかしら?」
「ブルー・イレイザーガン!」
華汝は、イレイザーガンでツカサを攻撃する。しかし、難無く交わされてしまう。
「レッド・マイティーソード!」
今度はまゆみが、マイティーソードで切り掛かる。だが、またしてもツカサは、姿を消してしまう。
「くっ..今度は何処に?」
「あっ!ああんっ!」
振り返るまゆみと華汝。見ると、胡摩がツカサに厳しく後ろ手に締め上げられてしまっている。
「胡摩っ!...ホワイト・気功砲!」
シバラレンジャーの中では、最も素早いのりこが気功砲を放つ。しかし、またしてもツカサは、胡摩と共に姿を消してしまう。
「ああんっ!...はんっ!はあうううううんっ!」
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