ミキは通信機を握り、口元に近づけて叫ぶ。
『宇宙船を発見しました!』
「そう!場所は?........うん!分かったわ、すぐそっちへ行く!」
ミキはそそくさと通信を切り、戦闘員達を手招きして走り出す。戦闘員達も、ミキの後を追って走り出す。深夜の山中に、今度は集団で走り回る足音が響き渡る。険しい森を数分程走り回り、ミキ達はそこだけ木がなぎ倒されている場所にたどり着く。そこには、倒れた木に圧し掛かる様に、銀色の金属の塊が佇んでいた。大きさは新幹線の先頭車両を横に2つ並べた程度の、本当に小型の宇宙船である。正面に、銀河連邦警察のマークが付いている。偽装を施した形跡も無いので、銀河連邦警察の船である事は間違い無い様である。宇宙船の正面に、サトミが立っていてミキ達を迎える。
「間違いありません!銀河連邦警察の囚人護送船です。」
「中は?」
「今、調査中です!」
サトミがそう答えると同時に、宇宙船の扉が開いて中から2名のミキ親衛隊員が出て来る。
「中には誰もいません!」
「航海記録は確認したの?」
2人の言葉にそう返しながら、ミキも宇宙船の入口に近づいて行く。
「それが......航海記録は消去されています。」
しかしミキは、その答えを予想していたかの様に表情を変えずに言葉を返す。
「.......宇宙海賊ね!........銀河連邦警察の船を盗んだか?......それとも囚人護送中の所を襲撃して奪ったのか...........」
そこまでミキが話し掛けた時、
「ご名答!!」
「流石!ナーワー帝国三大幹部の一人、コマンダー・ミキ様ね!!」
甲高い女性の声が、森中に響き渡る。
「な......何者?!」
「だ....誰っ?!....姿を見せなさいっ!」
慌てて辺りを見廻す、ミキ、サトミ、親衛隊員達、そして戦闘員軍団。
「フフフフフフフフフ............ここよっ!」
そう言って、森の中から飛び出した二つの影が、どっしりと佇む宇宙船の上に降り立つ。そこには、それぞれ紺と茶色のボンデージファッションに身を包んだ、金髪の二人の女性が立っていた。
「あ......あんた達は???」
「女宇宙海賊!キョウミ!!」
「同じく、女宇宙海賊!ユウミ!!」
颯爽と名乗りを挙げて、魅惑的なポーズを付けるキョウミとユウミ。
「キョウミ?........ユウミ?.........どこかで聞いたような?.......」
その名前に聞き覚えがあり、少し記憶を廻らせるミキ。そして、数秒後にはっとして顔を上げる。