リュウとドクターが、同時に声を上げる。
「さすれば、シバラレンジャーどもはたちまちの内にこの蜘蛛に縛り上げられます。そして、二度とファンタジー・ベースの外へは出られなくなる.......」
「.....そうか!......そうすれば、外で我々が何をしようとも手出しが出来なくなる.....」
『面白い!!』
それまで無言で話を聞いていた魔王ナーワーが、ようやくその口を開いた。
『すべてはお前に任せる!やってみるがよい!プロフェッサーちょこるよ!』
「ははっ!お任せをっ!!」
軽く頭を下げ、ちょこるはそのまま姿を消してしまう。

ファンタジー・ベース、正面入口のところに一台の車が停まっている。運転席にはさなえが座っているが、他には誰も乗っていない。しばらくすると、入口が開きME指令とゆうか達が連なって出てくる。
「それじゃあ、2〜3日留守にするが留守番を頼むぞ!」
「はい!分りました。」
まゆみが、てきぱきと答える。
「さなえ姉ちゃん!お兄ちゃんをお願いねっ!」
「任せて!ちゃんと暴走しない様に見張ってるから!」
後ろの方から、桜が運転席のさなえに声を掛ける。それに対し、窓から顔を出してさなえが答える。
「何を暴走するんだ?!失礼な!.....大体、いつも勝手に先走るのは桜の方だろ.......」
ぶつぶつ言いながら、車に乗り込むME。それを、笑いながらさなえが宥める。MEとさなえは、また近獏村へ向かおうとしていた。しばられ人に関しては、まだまだ謎の部分が多い。その血を受け継ぐシバラレンジャー達にも、まだまだ隠された能力があるかもしれない。日に日に強大になって行く敵の力に対抗する為にも、シバラレンジャーもパワーアップする必要がある。その為、MEは定期的に近獏村に向かい、昔の書物を調べ続けていた。
「じゃあ、行って来る。本当に、留守を頼んだぞ!!」
「は〜い!行ってらっしゃ〜い!」
そうして、さなえとMEを乗せた車は走り出して行く。ゆうか達は、揃って手を振ってこれを見送っていた。

その夜、ファンタジー・ベース.......
ゆうか達は、いつもは銘々自宅に帰っているが、留守を任された為交替でファンタジー・ベースに泊まり込んでいた。まゆみと華汝は年長者でもある為、どちらか一方は必ず残る様にし、ゆうか、のりこ、胡摩、桜は2人づつ交替で泊まり込む事にした。この夜は、ゆうかと桜が当番であった。また、まゆみと華汝は二人とも残っていた。
夜も更けた頃、ファンタジー・ベースの前に一人の男が現れた。全身を黒いマントで覆い、暗がりで良く顔は見えないが、まだ成人に満たない顔立ちの少年.......そう、プロフェッサーちょこるである。
「ふふふ......シバラレンジャーの皆さん、最高の夜をお楽しみ下さい.....」
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