「や.....いやっ!.....んっ!.....ふんっ!」
何とか逃れようとする桜だが、手足を縛られていては逃げ様が無い。たちまち蜘蛛に獲りつかれ、背中に回られ両手首に糸を巻き付けられる。後はまゆみ達と時と同様に、糸に霧状を液を噴きかける。
「あん!......はあああんっ!」
糸が収縮し、桜は強い力で両手首を後ろ手高手小手に締め上げられてしまう。
「あん!あんっ!!」
仕上げは、高手小手で綺麗に重なった両手首に糸が掛けられる。こうして、桜までも完全に後ろ手高手小手に縛り上げられてしまった。
「ああん!だめっ!......ううん.....んふんっ!」
これでもう、シバラレンジャーの力も使えない。どうする事もできないことを知りながらも、桜は懸命にもがき続けるのであった。
一方、こちらは指令室。厳しく縛られて並んで吊るされたまゆみと華汝が、回線越しにゆうかと会話をしていた。
「ゆ....ゆうかっ!.....ぶ...無事なの?」
『ううん.....だめっ!.....あ...あたしも縛られちゃって....あん!動けないのっ!』
「そ....そう....やっぱり.....」
真っ先にモニターが白く染まっていたので、ゆうかが一番先に襲われていた事は想像が付いた。だからゆうかの助けを期待していた訳では無いが、それでも落胆してしまうまゆみと華汝。
『な...何とか縄抜けできないの?....か...華汝姉ちゃんっ?!』
ゆうかの問いに、華汝は少し縛られた体を捩りながら答える。
「だ...だめ!....こ..この糸、結んであるんじゃ無くてびったりと張り付いているから.....うん!.....はんっ!どんなに緩めようとしても、だめなの!....あんっ!」
『....さ....桜ちゃんは?....桜ちゃんはどうなったの?』
ゆうかがそう尋ねた時、9個あるモニターのひとつにトレーニングルームの映像が飛び込む。
「あ......さ....桜っ!!」
丁度、桜が後ろ手高手小手に縛り上げられてしまうところであった。
「あん!だめっ!.....さ....桜も縛り上げられちゃったわっ!」
『ええっ!.....そ...そんなっ!!』
回線から、ゆうかの落胆の声が流れる。まゆみと華汝も、これを見てがっくりと頭を垂れてしまう。
「...あ..あとは....のりこと胡摩が最後の望みだけど.....」
「だめっ!....不意を突かれたら、簡単にあの糸に絡め獲られちゃうわっ!.....そうなったら、後はされるままに後ろ手に縛り上げられちゃう.....な...何とかして、この蜘蛛の事を二人に知らせなくっちゃっ!....あん!あんっ!!」
しかし、後ろ手に縛られた上に天井から吊るされている状態では、まゆみと華汝には成す術が無い。
「そ...そうだわ!.....ゆうかっ!あなた、その回線から胡摩達に連絡できない?!」
『え?....そうか!.....うん!や...やってみる!』