こちらはゆうかの寝室、ゆうかが口で回線のボタンを押し、胡摩に連絡をとろうとしていた。が......
「あっ!.......あんっ!はああんっ!!」
突然、脚を引っ張られて前のめりに取れ込んでしまう。そして、そのまま強い力で床を引きずられ、ベットの脚のところまで引き寄せられてしまう。
「あんっ!....ど...どうしてっ?!」
足首の方を見ると、いつの間にかベットの脚とゆうかの足首が糸で繋がれていた。ベットの脚のすぐ横には、例の蜘蛛が佇んでいた。ゆうかの足首とベットの脚を糸で繋ぎ、そこに例の霧状の液を掛けたのだ。
「あん!い...いつの間に......あん!はあんっ!!」
ゆうかは、懸命に回線のところに戻ろうとするが、後ろ手に縛り上げられたゆうかの力では、ベットは微動だにしなかった。
「ああん!だ....だめだわっ!....胡摩ちゃん!の....のりこさん!....あんっ!」
ゆうか達4人が縛り上げられた為、その救難信号はのりこと胡摩にも送られていた。二人は互いに連絡を取って合流し、共にファンタジー・ベースに向かっていた。深夜のハイウェイを、イプシロンに乗った胡摩とのりこが疾走して行く。既に、二人ともシバラレンジャーに変身している。昼間なら、こんな格好で走っていては人目について困るが、真夜中である為人気は無く、走っている車も殆ど無い。
程無く、イプシロンはファンタジー・ベースに到達する。胡摩はイプシロンを止め、のりこは後ろから飛び降りる。
「な....何っ??」
「何なの?......これ???」
二人は、ファンタジー・ベースの外観を見て驚愕した。建物全体に無数の蜘蛛の巣が絡み付いており、特に窓や出入口の部分はそれが全く見え無くなる程、ぎっしりと糸が敷き詰められていた。つまり、外からの侵入や中からの脱出が全く出来ない様にしてあるのだ。
「これって.....く....蜘蛛の糸.....よね?」
「と....とにかく、な....中へ入らなくっちゃっ!乗って!のりこっ!」
「う...うん!」
のりこは、再びイプシロンに跨り胡摩の後ろに乗る。胡摩はイプシロンを再始動し、正面入口の前まで移動する。
「イプシロン・レーザー!!」
そして、入口の蜘蛛の巣に向かってレーザーを放つ。
「?!.....」
ところが、レーザーは蜘蛛の糸に当った途端に拡散し、そのまま消滅してしまう。
「れ......レーザーが利かない......」
「そ....それなら.....イプシロン・カッター!!」
今度は、カッターのボタンを押す。無数の三日月状の刃がイプシロンから放たれ、入り口を塞ぐ蜘蛛の糸目掛けて飛んで行く。カッターは勢い良く糸に突き刺さっ........たかの様に見えたが.......
「?!....あ...危ないっ!!」