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「変身!!」
順は、変身のポーズをとって大きく叫ぶ。彼の体から発せられた光が更に輝きを増し、一瞬、爆発的に輝く。その光の中から、銀色のバトルプロテクターに身を包んだ白銀の騎士が現れる。
「順君!後は頼んだぞ!!」
「はいっ!!」
MEの言葉に答え、白銀の騎士は銀色の光の玉へと姿を変えて行く。そして、猛スピードで繭の様に糸で覆われたファンタジー・ベースへ向かって行く。
「?!」
が、中に突入する事はできず、突っ込んだ勢いそのままで跳ね返されてしまい地面に激突する白銀の騎士。
「.....く....な..何という弾力性だ....それなら...ジャスティ・ブレード!!」
白銀の騎士はジャスティ・ブレードを引き出す。
「うおおおおおおおおっ!!」
再びファンタジー・ベースに向かって突進し、今度はジャスティ・ブレードで糸に切り掛かる。
「のわあああああああああっ!!」
しかし、これもまた切り掛かった力がそのまま返って来るだけで、バランスを崩した白銀の騎士は尻餅をついてしまう。
「な....何と?!....白銀の騎士の力でも、あの糸は切れないのか?!」
MEが、木陰で驚愕の声をあげる。

ファンタジー・ベース内でも、指令室のまゆみと華汝はこの光景を見ていた。白銀の騎士が現れた時は歓喜の声を上げ、活気を取り戻して抵抗も始めた。
「あん!し...白銀の騎士さまっ!!」
「が...がんばって....はんっ!!」
縛られて吊り下げられた体を盛んに捩り、もがきながら白銀の騎士に声援を送る。が、糸に弾き返されるその姿を見て、見る見る内に落胆の表情に戻って行く。
「そんな?.....し...白銀の騎士様の力でも、この糸は切れないの?」
「あん!....だめっ!.....ど..どうすればいいの?....はあんっ!」
また、頭を垂れてうなだれる二人。頭を下げた為、厳しく後ろ手高手小手に捩じ上げられた両手首がいちばん上に来て、小刻みに震えていた。

「......サーチャー・アイ!!」
糸への攻撃が無駄と悟った白銀の騎士は、今度はマスクに内蔵した赤外線カメラでベースの周囲をスキャンした。
「.....そこかっ!!」
そして何かを見つけると、ジャスティ・ブレードを天空に翳す。
「ジャスティ・スピン!!」
掛け声と共に、白銀の騎士の体は高速回転を始める。