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責めが止まり、ようやく炎熱の騎士に気付くゆうか。炎熱の騎士は、コガネムシメカを眼前に運んで、小さく呟いた。
「....今日一番の手柄は、お前だな......」
「?!.....え?.....なに?......」
ゆうかが、意味不明の言葉に反応する。相変わらず、顔は真っ赤で全身汗びっしょりである。
「い...いや、な....なんでも無い!...い...今自由にしてやるぞ!!」
炎熱の騎士は、焦ってコガネムシメカを隠し、指先をゆうかに向けて細い炎を出す。
「あん!.......はんっ!」
炎が、ゆうかを縛り上げている糸を焼き払う。少し熱い為声を上げてしまうが、それは直ぐに収まって厳しく体を締め付けていた糸が消滅する。ようやく開放され、ゆうかは背中高くに捩じ上げられていた両手を、やっと解く事ができた。立ち上がろうとするが....
「あ....はんっ!.....」
しかし、先程まで激しい責めに苛まれていた為、体に力が入らず中々立てない。そこへ、まゆみ達が駆け込んで来る。
「ゆうかっ!出動よっ!....街で幻縛獣が暴れているの、急いでっ!!」
「...は....はいっ!!」
ゆうかはやっとの思いで立ち上がり、悶え疲れた体に鞭打って出撃して行く。炎熱の騎士は、多少の罪悪感を感じながら、黙ってゆうかを見送った。

ファンタジー・ベースを覆っていた糸は、炎熱の騎士により全て焼き払われた。街で暴れていた幻縛獣も、駆け付けたシバラレンジャー達の活躍により退治された。もっとも、そこはシバラレンジャーなのですんなり倒せはせず、一度は縛り上げられてピンチに陥ったが、イプシロンやラビ子の助けを借りて何とか倒す事ができた。(ちなみにラビ子はずっとファンタジーベース内にいたのだが、真っ先に糸でぐるぐる巻きにされていた為、今まで動けなかった。)何はともあれ、これでようやく事件は解決し、ファンタジー・ベースに平和が戻った。
「やっぱりゆうかじゃないの?」
「ええ〜?!何で〜?!」
「だって、真っ先にあの蜘蛛に縛られてたし....その後の戦いでも散々脚を引っ張ってたじゃない!」
「あの蜘蛛には、華汝姉ちゃんだっていとも簡単に縛られちゃったでしょっ!その後の戦いは......あたしはコガネムシメカにいたずらされて、へとへとだったんだから....」
レストルームで華汝、ゆうか、のりこ、胡摩、桜の5人が、例によって誰をお仕置きするかでもめていた。だが、まゆみだけは参加せず、少し離れたところに座って考え込んでいた。
「いったい、誰があのコガネムシメカを放ったの?」
「え...あれ?....あれ、確かさなえが放ってたわよね?.....」
「え〜っ?!さ....さなえ姉ちゃんが?!」
「こんな非常時にそんないたずらを......さなえさん、いったい何を考えているのかしら?」
「でしょ!だったらお仕置きはさなえさんでしょ!」