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「でも、さなえさんは指令と一緒にまた近獏村へ行っちゃいましたよ!」
「じゃあ無理じゃない......だったらゆうかしかないでしょ!」
「だから、何でそうなるのよっ!!」
一向に話がまとまらない。その一方で、まゆみはあれこれと考えを巡らせていた。
(いくら何でも、あんな非常時にさなえさんが悪ふざけをする筈はないわ!.....だとしたら、何か意味があってあんな事を.....いったい、どんな意味が?......それに、あれは、さなえさんの独断?.....指令の指示だったんじゃ.......そういえば、前にも同じ様な事があったわ。あたし達みんな縛られて、放置されてどうしようも無かった時.....あの時も、指令が虫型のメカを放って、あたし達にいたずらを.......でも、あの時はあたし達全員......今回はゆうか一人........ここに何か意味があるのかしら?......)
いくら考えても答えは出ない。ただ、さなえは何かを知っている。まゆみはそれだけは確信していた。
一方、ゆうか達の方も結論が出ず、結局くじ引きで決める事になった。
「あ〜っ!ゆうかさん当りっ!!」
「え〜っ!そ...そんなあ....」
「ゆうか姉さんって、本当に縛られる運命にあるんですね.....」
そう言って、胡摩はゆうかの両手を後ろ手高手小手に捩じ上げる。
「あんっ!....ゆ...許してっ!胡摩ちゃんっ!!」
「だめですっ!!」
胡摩は、構わずゆうかを厳しく縛り上げていく。
「.....やれやれ........」
まゆみは、そんなお気楽なゆうか達を見て、思わず溜息をつくのだった。

その頃、幻縛城では.......
「ふん!偉そうな事を言っていたが、結局は失敗ではないかっ!!」
いつも失敗している自分の事は棚に上げて、リュウがちょこるに罵声を浴びせている。が、ちょこるは少しも悪びれる様子も無く、さらっと言葉を返す。
「何の収穫も無かった訳ではないですよ....ひとつ、大きな発見があったじゃないですか?....」
「ん?!.....な...何の発見があったと言うんだ?!」
「.....今回、白銀の騎士が現れるのが、随分と遅かったじゃないですか.....」
「そ...それが、何だと言うんだ?!」
リュウにはちょこるが何を言いたいのか分からず、苛立って相変わらず怒鳴り散らしている。ちょこるは、そんなリュウの神経を更に逆撫でするように言葉を返す。
「おや?....あなたがそんな事をおっしゃるんですか?....そもそも、シバラレンジャー達がただ縛られただけでは白銀の騎士が現れない事に、最初に気付いたのはあなたではなかったですか?.....」
「ぐ.........」
言葉に詰まるリュウ。そう言われればそんな事もあったが、最近では完全に忘れ去ってしまっていた。